実際にアメリカに日本漫画を広めた人の話

なぜアメリカは日本並みに漫画が発達しなかった?
http://2channel2.blog32.fc2.com/blog-entry-165.html


この辺の話は、小学館集英社の代理店として、アメリカに日本漫画を広めたVizMediaの会長さんの本に詳しい。
現在も向こうでShonenJUMPを出したりしてる。


萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか

VizMedia http://www.viz.com/


実際に現地で20年以上の格闘の末、アメリカや西洋文化圏に日本漫画をそれなりに定着させた功績は大きい。
この本は基本的にビジネス成功物語となっているが、日本漫画を広める際に、既存のアメリカンコミックとの文化の差異を埋めるのに非常に苦労した点など、いろいろおもしろいことが書いてある。

  • アメリカでは漫画はスタンドでのみ売られるものだった( 流通が本屋とは別だったので、VizMediaも流通業界にコンタクトを取るが最初はなかなか本屋に漫画をおいてもらえなかった )
  • アメリカンコミックはひとつの雑誌に複数の漫画作品が掲載されることがない 
  • アメリカンコミックは表紙もアートと考えているので、絵の上に漫画のタイトル文字を載せるのを嫌う
  • 日本漫画のオノマトペの翻訳は、英語に存在しない音も多いので大変( 静けさを表す「シーン」という表現はそもそも存在しなかった )
  • アメリカンコミックはオノマトペの文字の大きさが画一的で、日本漫画のようにオノマトペも含めて絵とはあまり考えられていない( VizMediaが音を発明していった )
  • マーベルコミックなどは映画産業と連携し、ライセンシービジネス会社として経営を立て直した( VizMediaもポケモンバブルで大きくなった )
  • 2000年ころTOKYOPOPという新興起業がアメリカの日本漫画単行本の価格破壊を行い、一時期シェアが逆転した( VizMediaも大幅に値下げせざるを得なくなった )
  • そして高橋留美子のカルト的人気がいつもVizMediaを支え続けた


まあ現実にアメリカで孤軍奮闘しながらビジネスとして20年以上やってきてる会社なだけに、その戦いの物語にも熱が入ります。
タイトルから受けるイメージとは違って、ぜんぜん萌え関係ないし、どっちかというとビジネス書ですね。でも非常におもしろい本だと思います。おすすめ。